ツインシティーズの迅速対応ネットワーク

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更新モデルの手引き

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人々は、誘拐・暴行・恐怖支配しようとする連邦捜査官から自分達の地域を守るために迅速対応ネットワークを組織した。迅速対応ネットワークは、常に変化する移民・関税執行局(ICE)の戦術に対応すべく、目まぐるしい進化を遂げてきた。1カ月半に及ぶ占領の間、ツインシティーズ(ミネアポリスとセントポールから成る都市圏)のボランティア達は、自らの迅速対応モデルを絶えず更新し、ダイナミックで強靭なシステムを作り上げてきた。以下の報告では、間もなく同様の圧力に直面する可能性のある米国中の人々のために、このシステムの詳細を明らかにする。


12月2日、100人のICE捜査官がツインシティーズに派遣された。これは、複数の都市で拘束と強制送還を急増させる政策の一環だった。それ以来、ツインシティーズは包囲下の都市と化し、多くの住民にとってもはや自分達の街とは思えない程になっていた。都市を占拠する連邦捜査官の数は30倍に跳ね上がり、およそ3000人になった。それに比べ、ミネアポリス警察署の警官はおよそ600人に過ぎない。1月7日に迅速対応ネットワークのメンバーだったレネー゠ニコル゠グッドが殺害拙訳)され、一週間後の1月14日に別の人物が銃撃された事件は、全国的な注目を浴びている。

しかし、大部分の人々は、ツインシティーズで起きていることを、この国の他の場所で見られるICEの取締りや抵抗運動と同じようなものだと考えている。だが実際には、拘束・強制送還・衝突の規模は先例がないものとなっている。

ロサンゼルスで開発され、秋の間にシカゴ等で改良された以前の迅速対応モデルについては、こちらを参照。管理者専用のSignalループの設定方法は、こちらを参照。



大量投入

ICE捜査官がツインシティーズに大量投入される数カ月前、地元の人々と組織は比較的中央集権的な迅速対応ネットワークを作り上げていた。見張り役が確度の異なる目撃情報を一斉テキスト配信システムの管理者に送信する。管理者はそれらを受け取り・整理し・真偽を確認した上で全体に配信する。通知を受けた近隣の人々が現場に集結するという仕組みだった。この仕組みは、集合住宅の強制捜索のような大規模な作戦には有効だったが、ICEがより迅速で機動的な作戦を試みるようになるに連れ、機能不全に陥り始めた。

そして12月1日頃、強制捜索はほぼ停止したが、その後、捜査官を大量流入させ、ドアをノックしてその場で連れ去る作戦が始まった。以前のモデルはすぐに時代遅れになった。介入できる時間が僅か数分に縮まったからだ。従来の法的見張り役スタイルでボトルネック化したシステムよりも、より対決的なシステムを求めていた地域住民達は、その間隙を埋め、より機敏に動くための補完的な平行システムを構築し始めた。

この新しいシステムは、サウスサイドの報告を大規模に共有するチャットとして生まれた。誰もがあらゆる種類のアラートを発信できる場だった。ICEの活動量と速度が増すに連れ、このオープンで機敏なチャットは参加者を増やし、単にICEの活動を記録するだけでは物足りない人々を引き寄せる場となった。人々は既存の警告プログラムを統合し、標的となっている人々にICEの到着を知らせ、捜査官に嫌がらせをし、妨害行為を次第に強めていった。例えば、自分の車を使ってICE車両を塞ぎ、体を使って捜査官を阻み、群衆や車でのパトロールによって小規模な捜査官集団を威嚇して撤退させたのである。

チャットの規模が拡大するに連れ、街をより細かい区画に分割するチャットが増えていった。中には半径4ブロック程の小さな範囲まで分割されたチャットもあった。これにより、住民は自分達に直接関係する報告を確認でき、近所の目撃情報に迅速かつ効果的に対応できるようになった。


対抗監視

これらのネットワークは、地元のICE本部における対抗監視プログラムから大きな恩恵を受けている。ツインシティーズ郊外にあるフォートスネリングの連邦ビル「ウィップル」は、長年ICEの地方本部として機能しており、以前は他の連邦機関も入居していた。この複合施設は、州兵基地の向かい側で、正規軍基地のほど近くに位置し、保存された軍事要塞そのもののすぐ隣にある。この要塞は、2つの川が合流する先住民の聖地に建っており、この地域で植民地化が始まった当初の拠点の1つだった。さらに、かつては先住民ダコタ族を収容する強制収容所でもあった。

ウィップルには事務所の他、地下に手続き業務と拘置を行う施設があり、さらに広大な駐車場も備えている。地域住民は夏の間にこの複合施設を重要な場所だと判断し、8月以降、現地での活動を続けている。

この建物は2つの州道・2つの川・空港に囲まれている。車両の出入り口が2つしかないため、この施設へのICE車両の出入りを追跡するのは容易だ。この活動は「ウィップル゠ウォッチ」と呼ばれ、数カ月にわたり抗議者や見張り役が常駐し、市内に向かう車列や拘留者を空港へ運ぶ車両の情報収集を行っている。また、ICEの活動が集中する日や時間帯といった作戦パターンを特定し、出入りする車両のナンバープレートを入念にリスト化してきた。ナンバープレートのデータベースは日常的にほぼ絶え間なく活用され、迅速対応者が徒歩や車で既知のICE車両をリアルタイムで確認できるようになっている。ICEはこの対抗監視を無効化するため、一日の中で車やナンバープレートを交換するようになったが、寄せられる投稿は増え続けている。

ウィップル゠ウォッチは、その目標を3つ掲げている:

  • ICEの活動急増や車列に関して、地元の迅速対応ネットワークに知らせる早期警告システムを提供すること
  • ナンバープレートのデータベースに重点を置いてデータを収集すること
  • ICEに対して自分達の領域内であっても監視されていると知らしめること

ウィップル゠ウォッチが、敵対的な武装勢力に直面している情況下であっても、これら3つの重点目標を達成してきたことは疑いない。


ICEウォッチの多くでは、車や徒歩で巡回する見張り役が連邦捜査官の動きを監視・報告している。


仕組み

市内の各地区(サウスサイド、アップタウン、ウィッティアなど)には交代制の通信指令係が配置され、活動時間中はSignalの通話を常時運営・管理している。情況によっては複数の通信指令係が同時に入り、チャットの監視・他チャンネルへの報告・ナンバープレート照会といった付随業務を分担する。通信指令側はまた、巡回が地域全体に均等に配置されるよう調整を支援し、記録を取り、現場で対峙が起きた際には支援に入る。車両や徒歩の巡回者達は巡回中ずっと通話に常時接続し続ける。情報が絶えず共有されているため、他の車両担当者は、自分達が支援に入れる位置にいるか・尾行を引き継ぐか・引き続き追加の車両を探し続けるかを判断できる。

全体の仕組みがより細かい地区単位のゾーンに分割されたことで、多くの地域では毎日チャットを作り直す運用システムが採用されている。チャットは毎日作り直され、その都度削除されることで、常に情報が過剰に蓄積しない状態を保ち、参加者数が上限に達してしまうのを防いでいる(Signalグループの最大メンバー数が1000人に制限されているため)。都市部や郊外の様々な地域でも、この仕組みの基本構造は踏襲されているが、採用しているモデル・チャット構造・参加者の選別方法・データ収集方法には多少の違いがある。

データ収集チームは、ウィップル゠ウォッチや各地の迅速対応チャットから投稿された匿名データを収集し、ICEの活動が集中する地域を示す対話型地図などの閲覧・活用し易い形式にまとめている。このチームはまた、「ICEと確認」「ICEの可能性」「非ICEと確認」などのカテゴリーで整理された検索可能なナンバープレート゠データベースも管理している。

私の両親はカフェにいて、口笛と車のクラクションを聞いた。カフェの全員が立ち上がり、急いで外に出た。


さらに、学校組織・宗教団体・相互扶助食料雑貨配達など、特定の場を単位としたチャットも生まれている。もう1つの発展として、「地区ネットワーク」の受付チャットがある。このチャットは新たに参加するボランティア向けの情報センターとして機能している。市内のどこからであろうと――あるいはミネソタ州内のどこからでも――新たにやって来た人は、チャットの選択肢リストを提示され、管理者に案内される。管理者は彼等をオープンチャットに追加したり、よりクローズドなチャットに参加するための審査や訓練プロセスに接続させたりする。

最近では、通信指令係が中継システムの実験を行っている。このシステムでは、自分の地区の端まで車両を尾行した巡回者達が、チャット間で報告をやり取りし、次の地域の巡回者に尾行対象の情報を引き継ぐことができる。これにより巡回者達は、より狭いルートに絞って巡回し、そのルートを迅速に把握して熟知することで、ICE捜査官よりも効率的に誘導できるようになる。

最後に、スペイン語担当の中継者は、通信指令コールやローカルチャットからICEの警告をコピーし、翻訳した上で大規模なスペイン語のSignalやWhatsAppネットワークに送信する。

外から見ると、異なる種類の情報毎にチャットが過度に形式化されている、あるいは特定地区の全巡回者が同時に参加する完全オープンな通話の構造が不充分だと見えるかもしれない。しかし実際には、非常に効果的で自己組織的かつ維持の行き届いた通信エコシステムとしてまとまっている。情報はチャットや通信指令を通じて規模を越えて確実に伝わる。巡回担当者は発言を被らないようにすることができ、明確で組織的な情報伝達を行う文化的慣習を迅速に取り入れる。ボランティアは、自分の知識・スキル・関心・空き情況に応じて、異なる長さのシフトを自ら選び、どのルートを巡回するか決める。

このシステムは常に変化し、適応力が非常に高く、外部の人に説明するのはやや難しいが、1日に1500件以上の新しいメッセージを受け取るショックを乗り越えれば、驚くほど簡単に馴染める。


「ここがどれほど狂っているか、君達には分からないだろう」

ICEは明確な対抗措置を取ってきている。彼等は戦術を変えた。作戦中に地区から追い出されたこともある。彼等自身がどれほど恐怖を感じているかを話している場面や、多くが撤退したという事実を語っている場面を周囲に聞かれてしまったこともある。

同時に、彼等は見張り役に対する暴力行為を絶えず強めている。巡回者がICEを追跡する際に接近し過ぎたり、長時間追跡したりすると、大抵、車を封じ込められ、4人から10人の警官が車を取り囲み、ドアを叩き、怒鳴り、撮影し、逮捕すると脅してくる。車でICEを阻止した巡回者は、体当たりされ、窓を割られ、引きずり出されて逮捕・拘束されている。ICEの車両に乗せられ、何マイルも離れた場所まで連れて行かれ、走行中の車両から投げ出された人達もいる。捜査官が人々を車から降ろし、その車を数ブロック離れた場所まで運転して通りに放置した例もある。最近では、捜査官が車に催涙スプレーを散布するようになった。時には車内に散布して無理やり人々を外に出そうとしたり、さらなる嫌がらせや標的化のために化学物質で車を目立つようマーキングしたりしている。

最近、ICEの捜査官は、追跡を阻止するため、高速道路を走行中に車外に催涙ガス弾を投げ付けるようになった。捜査官は巡回者の自宅まで尾行するだけでなく、追跡してくる運転手や車両を特定し、脅しのために運転手を自宅住所へ誘導しているという。巡回者達の話によれば、捜査官は彼等を殴り、車で轢こうとし、正面から車を突っ込み、銃を突きつけ、タイヤを撃ち抜き、走行中の車から無理やり引きずり出した。レネー゠ニコル゠グッドの殺害は国中に衝撃を与えたが、過去6週間ツインシティーズの街頭に立ち続けてきた人々にとっては決して驚くべきことではなかったのである。



ツインシティーズのモデル:コピーするのではなく、モデルから学ぼう

ツインシティーズの迅速対応ネットワークとその周辺エコシステムを際立たせているのは、特定の構造を厳格に遵守することではない。彼等が置かれている情況の明晰な分析・情況に応じて変化しようとする意志・暴力が激化する中で反撃する勇気である。

ツインシティーズの人々は敵に対して細心の注意を払ってきた。彼等は、ICE捜査官がどのように展開し・何処を拠点とし・どのような服装をし・どのように運転し・どう反応するかを知っている。彼等が住んでいるのは比較的小規模で人口密度の高い都市部であり、多くの場所へ徒歩で移動でき、車での移動も容易な格子状の区画である。また、人々は隣人と繋がっており、過去の運動や蜂起から残された絆を基盤としている。ミネアポリス市長は自身の政権をリベラルに見せようとし続けているため、警察がICE作戦の増援として展開する可能性は低い。これらが具体的かつ観察可能な情況であり、この地における抵抗の設計と実行を直接定義している。

このモデル内部で活動する者は、情況の変化に応じた機敏性と適応力に専心する。この街には明確な人口構成と特徴を持つ地区があるため、モデルの拡張は地区毎に異なるよう設計された。強制捜査が止むと、ICEは出入口の限られた一つの主要拠点からほぼ専ら展開するようになったため、オルガナイザー達はそこでの対抗監視に大きく注力した。ICEの作戦が迅速でランダムな路上での拉致や戸別訪問に切り替わると、彼等が行動する場所を予測する唯一の方法は、接近するICE車両を特定することだった。そのため、人々は路上のICE車両を特定し、それに張り付いて追跡し続けることに焦点を移した。ICEは奇襲や待ち伏せ戦術に頼らねばならなかったため、対応者は笛やクラクションなどの騒音を使って遠方まで素早く警告を発した。ICE捜査官は数で劣る情況で行動することを避け、包囲されることを嫌ったため、巡回者は車を集結させ、即席の交通渋滞を作り出して封鎖線を作った。

こうした情況の多くは事前に予測できなかった。効果的に適応する唯一の方法は、開かれた受容的な文化を育み、自主性を促し、自己組織化を奨励することだった。

ツインシティーズの街頭に溢れ出す勇気の重要性を、いくら強調してもし過ぎることはない。迅速対応ネットワークを見限ってしまうのは容易い。何故なら、この加速する暴力キャンペーンを撮影し観察するだけでは充分ではないと私達は知っているからだ。全国の多くのネットワークは、参加者の行動を厳格に制限しようとし、激化させようとする意欲が広がっているにもかかわらず、動き出す前に自らを無力化してしまっている。トレーナーは大抵、干渉しないよう説く。一部の迅速対応者は、投擲物を投げたことを理由に、更には叫んだことすら理由にして、街中で互いを取り締まっている。これが迅速対応に関わるNGOへの弾圧に対する自己保存主義的恐怖から来ている場合もある。また、善意ではあるが誤った「安全」への固執となり、他人にとっての適切なリスクレベルを決めてしまう単なるパターナリズムとなっている。

このような過度な慎重さはツインシティーズにも見られる。トレーナーや通信指令係の中には、人々が自ら行動すべきだと感じている時に、それを支援するのではなく、原則として距離を置くよう伝える者もいる。ICEの邪魔をするのではなく、行動を起こす人々の邪魔をしてしまう傍観者もいる。

しかし、ここでの闘いを定義しているのは、限界を押し広げる人々である。人々は車や体を使って捜査官を阻止し、標的とされた人物が逮捕されないようにする。彼等は雪玉や石を投げ、催涙ガスの弾筒を蹴り返す。車や捜査官にペンキを塗り付け、車の窓を割る。殴られ、催涙スプレーを浴び、ゴム弾で撃たれても尚、誘拐犯の面前で叫び続ける。彼等は、新たに増長したICEが覆面を付けて誘拐し、秘密裏に失踪させ、記録的な数の死者を出していることを目の当たりにしており、それを阻止すべく現実のリスクを負う覚悟がある。報復としての暴力を経験しているが、それにもかかわらず、彼等はより多く、より強く、より勇敢になっている。

あなたの街にICEの執行が押し寄せようとしている時――そしてこれは必ずやって来る――その備えとは、闘っている場所の地形をよく研究し、工夫を発揮することである。あなたの街に最適な方法は、ICE本部での日常的な監視部隊や、迅速対応者による移動巡回と、まったく同じ形にはならないだろう。自分の強みをどう活かし、ICEの弱点をどう突くかを徹底的に分析する必要がある。今すぐ研究し、計画し、繋がり合い、実験を始めよう。

私達がツインシティーズに目を向けるのは、細部を再現するためではない。分析の明晰さ・迅速かつ決断力のある行動・柔軟かつ機敏な実験・互いへの深い思いやり・伝染するような勇気を求めているからなのだ。


この報告はツインシティーズを訪問した人達から寄せられた。彼等は、数日間という短い間だったが、ネットワークに温かく迎え入れられた。街を案内し、システムについて説明し、巡回に連れて行ってくださった皆さん、ありがとう。ラヴ゠アンド゠レイジ。


参考資料